直視すべし(第1話)
当選から一夜明け、沿道で挨拶するその表情は、曇っていた。
ーあっという間だった。選挙に出ないかと誘われ、勉強会に参加し、色んな人を紹介され…。
◯◯ちゃんならできるよ、と応援され、こんなに上手くいくのは初めてだ、と喜んだ。やっぱり、あたしってすごいな。よし、選挙で話す内容も練習して、○◯党議員になるんだ!と意気込んだ。言われた通りの内容はしっかり強調できた。ー
今朝「接戦だったことは自由民主党に対する厳しい評価だと思う。クリーンな政治で、信頼を勝ち取れるようになりたい」と話していた新人議員。
「政治を良くしたい」や「より良い社会を作りたい」。若者が政界に入れば、きっと変わる…。
これは、幻想。
政界に居る者の目的は、日本を良くすることではない。今の政界が日本国民の幸を求めていないことは「世紀の一件」(場問号外第8号に詳述)が十二分に立証している。
当選挨拶のため、新人の竹林稀美さんは上田先生の事務所へ。
「おう、当選おめでとう。結構メディアにも取り上げてもらってたな。」
(…けど、なんだか雰囲気が…。)
「総理が応援演説に来てくれるなんて。ちゃんと感謝するんだよ。」
「はい、これから◯◯党議員として、信頼を取り戻せるよう頑張ります。また沢山教えてください。」
「ああ、教えるよ。じゃまず、『取り戻す』とか『きれいな政治』とか、新人の君が言うことじゃないよ。誰のお陰で当選できたと思ってるんだ。そこをしっかり見極めないと。◯◯党議員になった以上は、この◯◯党が身内だ。国民じゃない。これを忘れるな。」
「はい…。」
「今度、食事に誘うから、連絡するよ。」
「はい…よろしくお願いします…。」
「頑張れよ。期待してるから。政治には若い人の力が必要。君がその一人だ。」
「はい、ありがとうございます。… それでは、失礼します。」
退室し、甘苦い後味と表情でエレベータに向かう。記者は出入りしない建物だと聞いていたが、シャッター音が。(どうしよう、今の表情、撮られた?)
エレベーターに乗るや否や、小池先生からの着信が。
「当選したみたいね。おめでとうー。」
「はい、ありがとうございます。」
「今頃、引張りだこでしょ、羨ましいわ。」
「ああ、いえ。そんなことないですよ(苦笑)。」
「まあ 謙虚に(笑)。でも、なんだか浮かない声ね。」
「いえ、新しいことばかりで。また先生にも沢山教わりたいので、」
「ああいいよ。ちょうど良かった。今夜、どう?一緒に食事でも。」
「今夜、はい、大丈夫です。」
冷静に考える間も与えられないまま、次の場面へと続いていく。
夕食の際に、小池先生は言った。
「稀美ちゃんが持ってる力を発揮すればいいの。もうそんなに若くないんだから。
あなたが持ってる力を、期待している人たちがいる…。」
「…はい。」
「あっ、そうそう」と言いながら、あるパンフレットを持ち出し「ここの旅館のおかみさんとはもう長いお付合いでね。休暇にもいい場所だから、良かったらあなたのことも紹介しておくね。」と話を進める。
「ええ、すごいですね。ぜひ行ってみたいです。」
「うん、私も気に入っててね。…
さっき上田君に挨拶に行ったみたいね(笑)。」
「あっ、はい。(早っ、もう知ってるの)」
「上田君もちょっとね、怖面だけど、面倒見はいいよ。」
「そうなんですか。…(よかった)。初めて行きました。」
「そう。まっ、政治の世界は汚いってよく言われるけど、泳げるようになれば、楽しいよ。
何かあったら、私を頼りな。こう見えても、パイプ持ってるから。色んな意味でね、アハハ。」
付き人が小声で「先生、〇〇からのお電話です」と言い、小池先生は「色んな人の相談受けると繋がりも増えてね。ちょっと早いけど、またお会いしましょう。今度はクリーンな政治についても、話ができるのを楽しみにするわ。」と軽くも笑顔で締めくくった。緊張が解けない新人は佇んだ。
早すぎる展開を振り返るためにもいいのかなと思い、週末に紹介された旅館に行った。
おかみさんが出迎えてくれる…「待遇」。
たむろする、悪代官ら。
政界に入れば何かは変えられる、と思っている若者。
変わり果てるのは、その新人。餌食になるか、実行役になるか、のいずれかだ。
永田町と政界は日本国民の幸を求めていない。
したがって、総解体へと進んでいる。
誠に、アメリカが敷いた戦後構造は、骨まで解体されなければならない。
たたず
こわおもて
ー 政界入りを目指すな ー
えじき
直視すべし(第2話)
午前10時半頃、大広間と奥座敷横の廊下を進み、突当り左手の個室に案内された竹林稀美さん。「隣にもあなたのように当選した方が泊まるから、お友達になれるといいですね」とおかみさんは言った。同じように狭い和室が何部屋か続いているが、小池先生の紹介で四畳半の部屋…。
宿中に奥座敷の宴会騒ぎが聞こえてくる。
だが突然、正面玄関から力強い声が。
女中に呼ばれたおかみさんは足早に戻って行く。「いらっしゃいませ」との明るい声に、隊長の「宿改めだ。ここのおかみか」と確認する真剣な声。
「はい。お宿あらため、ですか。」…「これはまた何のことで?」と尋ねるのが聞こえてくる。
隊長をはじめ、約30人の役人が玄関に立つ、物々しい雰囲気となっていた。
「奉行所の命だ。宿をあらためさせてもらう。」との言葉に、事態を把握できずにいるおかみ。役人が次々に上がり、下座敷の方から確認を始めた。
何も知らない悪代官らの宴会は続いていた。
女中に指示を出すことなく奥座敷へと消えていたおかみさんは、慌てて「あの、何の疑いでしょうか」と隊長に尋ねた。
隊長は厳しい声で「選挙不正並びに国外への資金流出の疑いだ」と答えた。
座敷の天袋や襖等を手荒く開けて入念に調べる役人が一部屋ずつ回っていく。
(隊長)「二階にも客人は泊まっているか。」
(おかみさん)「いえ、今日はどなたも。」
(隊長)「この旅館は繁盛していると聞くが、週末であるのに、二階には客がおらんのか。」
(おかみさん)「ええ、今週末は。」
(隊長)「貸切りということか。」
(おかみさん)「まあ、そうですね。」。その目は泳いでいた。
(隊長)「8人は二階を調べろ。」
隊長は廊下を進み、左手奥の個室を指し「ここに客人は」と尋ねた。
おかみさんは「はい。おり、ません。」と返事した。
狭い廊下に隊長と役人、そしておかみさん。その緊迫した空気から逃げようと、稀美さんは障子を開け、出ようとした。隊長は透かさず「ここの女中か」と問うた。稀美さんの「いえ…」をかき消すように同時におかみが「はい」と答えるが、「えっ」という表情でおかみさんを見る稀美さんに隊長は「今日は何の目的でこの旅館に?」と続けた。「はい。休暇で、一泊二日…。」
隊長は「見てのとおり、宿あらためだ。畳も全て起こすゆえ、休養はできぬ。今日は帰るがよい。」と厳しくも誠実に言った。
「あ、はい。分かりました。」とこの物々しい状況から解放されることで安堵した稀美さんは私物をまとめた。
廊下に立つおかみは「部屋を確認して、何も無かったら引き取っていただけるんじゃないんですか。」と苛立ちを隠しながら隊長に迫った。
(隊長)「客を『女中』と偽るとは、どういうことだ。」
(おかみさん)「いや、それはその…今日宴会で忙しいから手伝ってくれるかなと思って」
(隊長)「見苦しいぞ!」
全員の視線が、彼女に。
奥の方の騒がしい宴会は、酔い混じりの荒い雰囲気に変わっていた。
稀美さんは背からの声を拾い、我に返り、確かな足取りで、旅館を出た。
奥座敷へと進んだ隊長は一言、「御免。宿あらためだ。」と断り、障子を開けた。
不機嫌な代官らを大勢が囲っていた。すぐに「なんだなんだ?」、「宿あらため?」と一人が声を鳴らした。
(隊長)「いかにも。」
「何の分際で? 誰の命令だ?」とキレ気味に一人の代官が問う。
(隊長)「奉行の命である」
(別の代官)「奉行?ハッ、笑わせてくれるな。今の時代、奉行所はもう無い。」
「そうだよ、南も北も無い。お代官の皆様に失礼だぞ」と上田が続いた。
隊長は全員に対し「こちら、東町奉行所である」と厳かに言った。
(代官らの手下ども)「東町奉行? 何だそれ。」
「聞いたことねえよ。」との上田の強面も、効き目がない。
(隊長)「当奉行所の名奉行をご存知無いか。」
(一人の代官)「名奉行?知らねえな。」
(隊長)「東町奉行、坂本四国守直柔様である。」
「坂本?なおなり?」と、別の代官が繰り返す。
もう一人の代官も「知るかよ」と吐き捨てた。
「代官方にもご協力願う」との隊長の声に合わせ、廊下で待っていた約20人の役人が入室。押入れや天袋、客人らの持ち物等を確認し始めた。
隊長は(悪代官の評判だけあって、義人を社会そして歴史から消すような言動。とんでもない輩。)と心中で言った。
「疑いは選挙不正?」と隊長にぶつける上田。
(隊長)「及び、国外への資金流出である。」
(代官の一人)「国外って、どこだ?」
(隊長)「くだら、エゲレス。そしてどこよりも、不平等条約締結を強いたアメリカだ。」
ー 空気が固まった ー
互いを見合う者ども。役人は手を止めない。
上田が下手に言った「証拠は、あるのか?」... 犯人の決め台詞が、出た。
隊長が冷静に言う。
「当東町奉行所は、国民が正義を重んじ、平和に暮らすことを目的に設立された。
この目的達成に向け、奉行をはじめ、皆励んでいる。」
(数人の嘲笑い)「何?正義?時代遅れだな、お前ら。」と、誰かが言った。
一人の悪代官も「法でもないものを基に作られた奉行所?なら、宿あらために応じる必要はないな」と加わった。もう一人の悪代官も「そうだ。とっとと帰れ!」と応戦した。
隊長は厳しいまなざしで、ゆっくりと言った。「誰が、時代遅れ。国民の平和と正義の確立に努めるこの任務は、『高務』である。したがって、協力しない場合には、高務執行妨害の罪で引っ捕らえることもできる。」
悪代官らは立ち上がり「な、なにー。町奉行の分際で。俺ら代官を何だと思っている。」と興奮した様子で声を張り上げた。
隊長は、動じることなく「当町奉行所が決めたことではない。正義は不変の価値である。国民もそうであるが、いかなる役職に就く人間も、正義に対しては頭を下げねばならぬ。これが、世の構造である。」と明言した。
昨日(2023/4/24)、ゆうちょ銀行に預けていた国民の多額の貯金が紛失したというニュースが流れた。貯金満期から20年が経過すると郵便貯金の個々の権利が消滅する云々で昨年1年間に多くの国民の貯金総額457億円が消えた。その『盗まれた』貯金は国庫に入ると言い、郵政管理・支援機構等は国民に対する制度周知に努めていると強調する。
綺麗事、そして開き直りの背後に見える、政策。
隊長は続けて言った。「2007年の『奪われた年金』のように、国民の財産が国外へ流れているとの告発があった。それも、昨年射殺されたあのアベの盟友が財務大臣であった頃から続いている、との話である。道理で、近頃は国民の生活が危うくなっていると感じる。消費税は上げないと言いながら、物の価格が上がり続ける。報酬も上がらないなかで。物価高騰なる手段で国民からしぼり続けるその金、その大金が、どこかへ流れている。
この一件に関し、代官方各々から話を聞くこととする。尋問の日は追って、知らせる。以上。」
これを受け、悪代官らは怒り心頭に、
「チクショウ!こんな振舞い、ただじゃ済まねえぞ。」
「待っていやがれ!」
「その告発人も必ず突き止めてやる!」などと発しながら、一味の者と共に部屋を出た。
おかみは謝りながらその集団を玄関先まで見送った。
隊長は「本日、未の刻に奉行所に出頭せよ」と彼女に命じた。もはや、おかみの着物も虚しい。苦い「はあ、い」のみが残る。
数人と共に一足早く奉行所へ戻った隊長は、尊敬する奏菴先生がお奉行に会いに来られていることに喜んだ。
つづく
なお、「菴・庵」は「草葺きの小さな家、仮住まいの質素な小さな家」を意味する字であり、その概念及び風習は、死者カルト(仏教)が日本に伝来する以前からわが国にあった。当学院が用いるこの字は、そのような後からの汚れと無縁である。
かなあん
やどあらた
めい
しこくのかみなおなり
むな
ー 宿改め ー
直視すべし(第3話)
2025年8月3日公開
ー 鮮やか ー
二手に分かれた東町奉行所の役人。
宿のおかみは油断し、急ぎ奥の茶室へ向かう。
その前の廊下にいた50代の女中が「おかみさん、大変です。」と浅い息で言う。
茶室の畳を起こし始める役人。
その展開を受け、おかみは「この茶室は夏の間は使いません」と、下手に言った。
女中の青白い顔に副隊長は確信した。
(- この茶室のどこかに証文が隠されている。-)
時々追った女中の目線は、同じ角を二回気にした。
(女中)「あの、茶道具はもっと丁寧に扱ってください。」
(おかみ)「それは炭です。」
床下収納から木箱類を取り出す役人。
半畳ほどのそれが空になると副隊長がしゃがんだ。そして、その内壁を木刀で突くや否や、おかみの切願する「おやめください」、そして、外れる薄い鉄板。
(副隊長)「なにゆえ、かようなところに紙垂が …。それは何だ」
(女たちは黙ったまま)
(部下の役人)「壺のようでありますが、栓がしてあります。」
(副隊長)「頭にも見える。」
(役人)「実に。」
(副隊長)「それを抜け。」
(役人)「はっ。」
役人が細長い壺のその細い口の栓を抜くと、その栓自体が筒型の胴体と頭のような部分から成る木製の人形であり、垂直に入っていた筆らしき物もそれに繋がって出てくる仕組みになっていた。
そして、筆のようなそれには証文が巻き付けてあった。
副隊長がそれをゆっくりと巻き開けると、人名、国名、年貢率他闇取引の情報が記されていた。
(副隊長の怒りの声)「これだ。間違いない。曽我代官の名まであるぞ。」
(隣の座敷を当たっていた役人は副隊長の声を受け足早に茶室に駆けつけた。)
(副隊長)「国民を虐げ、欺き奪った金を異国に流し、神道までをも悪用するとは。許せん。」
- 政治の悪の背後には必ず、カルト組織がある。-
隊長のこの言葉、そして、カルト色の付いた物はその場で開けてはならないとの東町奉行所の規則に従い、副隊長はその人形らしき物を開けずに証文とともに押収した。
(役人)「茶を点てるのはおかみか」
(おかみ)「いえ、お手前はいつも女中がします。」と、己さえ助かればの精神で即答。
(役人)「この女中か」
(おかみ)「はい。」
(役人)「名は何と申す」
(50代女中)「稲田と申します。」
(副隊長の鋭い声)「共犯の罪で稲田と宿のおかみ砂山を召し捕る。」
(役人たち)「はっ。」
すぐさま、女たちに縄がかけられた。
(砂山)「私は何も知りません。」
(砂山よりも年上の稲田は黙す)
(砂山)「信じてください。あんなところにあのような物があるなんて初めて知りました。私はただ、小池先生のお友達を泊めていただけです。」
(小池と同期の稲田が諌めるように)「おかみさん。お名前はくれぐれもと言ったではありませんか。」
(副隊長)「客人の名簿はどこだ。過去2年分を押収する。」
(奉行所にとり名簿は加害者と被害者の一覧)
別の女中が名簿を渡す。
(砂山)「名簿はまた返していただけるんですよね。私は商いをしていただけなんです。」
(副隊長)「話は奉行所で聞く。いくたびも嘘を吐いたこと、及び、女中が小池の名前をすぐさま伏せようとした事実は重い。言い逃れはできぬぞ。」
時刻は、午の刻(正午頃)となっていた。
奉行所へと連行されてゆく砂山と稲田を沿道の国民は厳しい眼差しで見届けた。
東町奉行所にて
(隊長)「二人の調べは週明けに始める。牢に入れておけ。」
(副隊長)「はっ。」
(隊長)「証拠は見つかったか」
(副隊長)「はい。壺に入ったこの書状と、このカルト物が。」
(隊長)「そうか、よく見つけた。」
(副隊長)「お読みどおり、茶室にありました。」
(隊長)「そうか、ご苦労。早速お奉行と先生に」と言い、隊長は証拠を持って広間へと戻った。
奏菴先生は三月半ぶりにお奉行に会いに来られていた。
そして、カルト物の始末方法と留意点等をかつて奏菴先生に直接教わった隊長にとり、先生のいらっしゃることが心強かった。
(坂本四国守直柔様)「証文が見つかったか」
(隊長)「はい。こちらにございます。」
(証文を読んだ坂本奉行の憤りに満ちた声)「なんということだ。柳瀬と武見、曽我の三代官が異国と密約を交わしたとある。」
(隊長)「なっ、なんと…。柳瀬と武見は、今朝あの仲におりました。」
(奏菴先生)「ならばもう近い。」
(坂本奉行)「埼玉と栃木、千葉の悪代官であったか。… それはなんだ」
(隊長)「はい。床下で見つかった壺の栓だった物です。」
(坂本奉行)「ただの人形ではなさそうだな。」
(隊長)「はい。加えて、紙垂が載せてあったとか。」
(奏菴先生)「...となると、この一件、社僧が束ねているようであるな。」
(坂本奉行)「先生の前で開けるが良い。」
(隊長)「はっ。では、開ける。」
こうして隊長は、右手でその頭らしき部分を、左手で筒状の胴体を掴み、そのカルト物を水平に開けた。
そして、胴体に入っていた紙切れを取り出し、お奉行に渡した。
細長く畳まれたそれを開きながら読むお奉行の表情に、先生と隊長は目を合わせた。
(坂本奉行)「八幡寺。この一件の束ねは、日光の八幡寺とある。」
(奏菴先生)「やはり、死を崇拝する寺の者と外来人の悪質な連携による桁違いの不正。朝鮮の蘇我と百済は古代より、エゲレスとアメリカは幕末より、カルト組織を繁殖させ、我々日本人を苦しめてきた。」
(坂本奉行)「さよう。そしてこの年貢率。それも、悪代官らの領地を超えて全国に関わる取引をしたとは。… 断じて、黒船による悪行を繰り返させてはならぬ。」
(奏菴先生)「誠に。できることを全力でせねばならぬ。それをすれば、我々の手の及ばぬところで、必ず、正義が天罰を下す。」
(坂本奉行)「よし。では、国民の代表でない者が異国と交わした契りは無効であると考えるが、いかがか。」
(奏菴先生)「いかにも。心でわが国日本を選んでいない者は、国民の代表者ではない。」
(坂本奉行)「ならば至急、本件を上様にご報告せねば。」
(奏菴先生)「いや、長い間異国の地で実績を積まれ、多岐にわたり業績を挙げられた上様のお近くには、事を穏便に片そうとする役人がまだ複数いる。そして、悪代官らの後ろ盾は、決して表に出ないカルトの者たち。ご報告により危険が及びかねない。わが国の舵きりが始まった今、上様に万一のことがあれば。… 海の向こうで上様に応急手当をしたこの医者が助言したとお聞きになれば、お怒りも鎮まろう…。」
(坂本奉行)「つまり、事後報告か…。何かの策は。… 江戸、茨城、神奈川、群馬の四国を管轄する当奉行所が単独で本件に当たるその手立てはあるのか。」
(隊長)「恐れながら申し上げます。日光の八幡寺といえば、年に二度、関東本山儀式を執り行う寺であり、その恒例行事には悪代官らが欠かさず列席すると聞いております。」
(坂本奉行)「その本山儀式は夏であったな。」
(隊長)「はい。本年は半月ほど前倒し、五日後からの二泊三日との情報が入っております。」
(坂本奉行)「しかし、日光は当奉行所の配下にはない。」
(奏菴先生)「国境にあるその八幡寺について、国民から何らかの訴えが上がっておれば話は進むのだが。」
(隊長)「急ぎ、確かめさせます。」
(坂本奉行)「ちょうど良い。この間、神道について聞きたい。八幡寺と八幡宮は同じ起源か。」
- 子細あって神主養成塾を出た隊長は緊張した面持ちで語り始めた。-
(隊長)「はい。八幡宮も八幡寺も、大元は宇佐(大分)の八幡宮であります。そしてその数、全国4万を超えます。宇佐八幡、石清水八幡、鶴岡八幡、この順に全国に派生したものであります。」
(坂本奉行)「そうかぁ、4万を超えるほどあるのか。では、八幡系列のそれを、寺と呼び宮と呼ぶのか。」
(隊長)「実は、八幡系列のそれは『八幡の神』を祀っていると申しています。しかし、神道の最古の書と言われる古事記には、『八幡の神』が朝鮮の百済から入ってきたことがはっきりと記されています。つまり、我々日本人の神ではないのであります。」
(坂本奉行)「なんたる極端な話。八幡の神は神道ではない、ということか。」
(隊長)「いかにも。… そして、わが国に住み着いた百済の者ども、死を崇拝する蘇我のその集団は、古代、神道の代表者や国家の責任者を次々に殺害し、西暦592年に我々日本人の最後の天皇陛下にます崇峻天皇陛下までをも暗殺しました。そして、神道を基にそれまで天皇家に仕えていた隼人という九州の古代豪族をも残忍に攻撃し、養老(西暦720年頃)の時に彼らを滅ぼそうとしました。その時、隼人に対する戦のなかで、百済の者どもが八幡のカミの神輿を持ち出し、戦場に担ぎ、加勢を求めたと古事記に記されています。つまり、神輿を担ぎ出すという不謹慎な行為はその時に始まったものであり、以来ずっと続いています。」
(坂本奉行)「なんたる史実。… 祭りの時に神輿を担ぎ出し、生々しく騒ぐそれも、我々日本人の伝統ではないというわけか。」
(隊長)「はい。」
(奏菴先生)「どうりで、ほとんどの祭りの騒ぎは、日本人らしからぬ肉々しいもの。」
(坂本奉行)「確かに。そして、あの宇佐八幡の建物の朱色、あれも我々の感覚からすると不潔であるな。」
(隊長)「実に。そしてあの朱色は、実は、隼人の大多数を殺害したことを常に誇示するためのものであることが判っています。」
(坂本奉行)「なっ、なんと。そこまで残忍な輩なのか、朝鮮の集団は。」
(奏菴先生)「さよう、我々日本人の想像にもないほど、残忍である。」
(隊長)「そして、その同じ彼らが、『放生会』なるものを始め、生き物を殺してはいけないと主張し、儀式の際に籠の鳥を放つなど、偽善に偽善を重ねています。」
(坂本奉行)「許せん。神道の精神である『明き清き直き』に全く反している。」
(隊長)「誠にその通りでございます。それらの狙いは、わが国日本の倫理の基であった神道をことごとく壊すことであります。これは、歴史が細かく示しています。そして、隼人の軍勢を殺めた百済の者どもは、生き残った隼人を捕虜として奈良の朝廷に移し、一部の隼人に、隼人の一族が滅ぶことを題材にした『隼人舞』を踊らせ、別の隼人を門番に定め遠吠えをあげさせていただけでなく、九州に残った一部の隼人には今日まで残る「牛糞」や「蛭川」、「御手洗」などの名を付け、迫害してきました。」
(奏菴先生)「これは、神道に反して女が天皇だった時の史実として、国民にも示させなければならない。」
(坂本奉行)「いかにも…。あまりにも深い傷。神道を迫害した者たちの実態を今の世に周知せねば。」
(隊長)「ぜひ。」
(隊長)「隼人に対する迫害の史実と神道に対する桁違いの侮辱が一つとして今日まで続くその一例をも述べさせていただきたく存じます。生き残った隼人が奈良に移された時、元正という名の女が天皇でありました。そしてそれは、蘇我の一族を母体とし、僧侶どもと共に死を崇拝する在日朝鮮人でありました。その女が、ある日、体格の良い隼人が目の前で戦うのを見たいと吐いた。それを受け、僧侶どもは、二人のうち一人が死ぬという極悪の設定で隼人同士を戦わせました。そして、隼人と神道を最大限にけなすために、隼人に着る物を与えなかっただけでなく、己の汚らわしい性欲と内面の闇を讃える意味で、神道の歴史にしかない聖域を示すためのしめ縄と紙垂を、なんと、隼人の腰に巻きつけ、その姿で戦わせ、彼らと我々日本人の道徳の基である神道をこの上なく攻撃し、それを「相撲」と名付けました。これが、相撲の歴史起源であり、そして、今日、背後の僧侶とともにモンゴルからのあの豚のような者たちがわが国でしめ縄と紙垂をあのように忌まわしく悪用する所以であります。」
(坂本奉行)「この煮えたぎる内なるを、いかんせん。」
(隊長)「... まことに。」
(奏菴先生)「『人はみな根はいい』と言う者がある。しかし、それは違う。正義を愛さない人は、やがて獣のようになる。正義と真実は、人として生きるために欠かせない。そして、悪を憎み、正義を愛すれば、正義が助けてくださる。
歴史を巻き戻すことはできないが、悪が根絶されるために、今、正義を選ぶことはできる。そして、今聞いた歴史においても、あの時代にも、天罰は下った。人は必ず、行いの報いを受ける。そして、正義が勝つ。隼人の苦しみを心に、目の前の悪を絶やそう。」
(坂本奉行)「そうだ。」
(隊長)「神道の虎の巻に書いてあります。『復讐は神のもの』と。」
(坂本奉行)「つまり、暴力に頼ってはならない。」
(奏菴先生)「さよう。我々の良い行いも、必ず、報われる。」
(坂本奉行)「これを、信じよう。」
(隊長)「はい。」
(坂本奉行)「さきの、八幡宮を八幡寺と呼ぶわけも、聞かせて欲しい。」
(隊長)「はい。朝鮮半島からわが国に侵入し、住み着いたそれらは、神を敬わず、異国の仏教を建前に死を崇拝し侵略を続けてきました。そのなかで、隼人や神道関係者を次々に殺害したそれらは、神主を排斥した後に神社に住み着き、僧侶として神主に化け、恐怖に陥っていた国民に対し、神と仏が実は同じ存在であるという魔界からの偽りを主張し始めました。そして、日本の僧侶が他国の僧侶と違い強欲非道であるという観点も、それらがブッタの教えに帰依したのではなくブッタ教をあくまで侵略手段として使っていることを裏付けています。さらに、隼人を迫害し、宇佐八幡宮を建立し朱色に塗装させたその僧侶どもが、ある日突然、『神の霊は別けることができる』と、これもまた全く根拠なく云い張り始めたのであります。そして、神主の装束で神社にいるそれら社僧は儀式を行い始め、『勧請』と称して霊を別けたと主張し全国に次々に建物を作りそれらを神社と呼ばせ、一方の手には死の恐怖という鞭を持ち、同時にお守りなどご利益云々と言い、神道の精神に反する商いを一斉に始め、大儲けをし、全国数万社に膨れ上がったその数と影響を誇示し、己が神道の代表者であると称してきたのであります。」
(坂本奉行)「つまり、国民が、商売と無関係である神道の基に戻ることを全国の八幡社と社僧が著しく阻んでいるということだ。」
(奏菴先生)「いかにも。神の霊を別けるなど身勝手なことはできない。これは、神道の虎の巻にも記されている。」
(坂本奉行)「今の話で良く分かった。我々日本人の精神を守るために、神道を名乗り上を固めているその悪人らを晒さねばならぬ。」
(奏菴先生)「賛成だ。ところで伊勢はどうだろうか。」
(隊長)「はい。伊勢神宮に関しましても、示すことができる固い史実があります。二例にとどめますが、20年に一度、神器等を焼き払い、社殿を含め全てを新しくするというその習慣の起源は、実は、証拠の隠滅であることが分かっています。日本の精神が、物を大切にし長く使うこと、歴史を守り後世に引き継ぐことでありますなか、神聖とまで言われる多くの物品をわずか20年で破壊することは、矛盾であります。社僧は、古代に働いたあの大規模な証拠隠滅を目立たせないために、神事と称してこの習慣を始めたのであります。また、伊勢の儀式において、白装束者の列の先頭を老いた女が進むというその観点も、根本から神道の教えに反しています。」
(坂本奉行)「これも聞いたことがない極端な話だ。既存の体制が崩れることを恐れていると、我々日本人の精神の基である神道は消滅してしまう。」
(奏菴先生)「誠に。そして、これまで犠牲になった多くの国民とその苦しみに目を向けると、彼らのためにも、そして、次の世代のためにも戦わねばならぬことが分かる。」
(坂本奉行)「確かに。そして、悪代官らの不正に加え、宗教や伝統の名のもとで特定の組に流れる年貢の桁を見ると、あれらも国民生活を大いに圧迫していると言わざるを得ない。」
(奏菴先生)「いかにも。靖国神社と言われるそれも同じ。元々東京招魂社であったそれを神社と不正に名を変えたのは、軍国主義者山縣有朋であった。そして、神道の教えから人間崇拝はあってはならないものであるゆえ、この一件も神道に対する侵略である。」
(坂本奉行)「そして、国際問題の種でもある。けしからん。」
(奏菴先生)「さらに、第二次世界大戦においても、軍国主義者は背後の僧侶とともに、国民を扇動するために神道を悪用した。」
(坂本奉行)「つまり、近ごろ聞く『神道政治連盟』なるものも、神を敬い国民の幸を求める人々の集まりではなく、悪行を働き、その罪と責任を神道になすりつけようとする輩の集まりというわけだ。数年前に射殺されたあのアベが同連盟の代表者であったことを考えると。」
(奏菴先生)「いかにも。そして、あの者も、在日朝鮮人であった。ムンが作った冒涜カルト「統一教会」のプリンスと呼ばれ、わが国日本を戦場に駆り立て国民が戦禍に滅ぶことをアメリカとともに望み、それに全てをかけた者であった。」
(隊長)「しかし、先生が全力で立ち向かわれ、そして、正義が勝った。」
- 廊下から近づく早い足音 -
(役人は部屋に着く前に)「お奉行 …」
(着くや否や)「申し上げます。」
- 八幡寺に関する訴えが、あった。-
(坂本奉行)「あったか。」
(役人)「はいっ。」
(坂本奉行)「申せ。」
(役人)「はっ。梅雨入りの頃に当所に届きましたは、片品と日光の境にある八幡寺が、当管轄地である片品(群馬)の森を身勝手に伐採し領域を増やしているとの訴えであります。
(坂本奉行)「さようか。誂え向きの一件だ。よし。下がってよい。」
「八幡寺の五日後からの儀式に合わせて押し入ることは。」と、お奉行は奏菴先生にふった。
(奏菴先生)「役人の数にもよるが、森林伐採の一件と床下から見つかったこの書状がある今、条件は揃っていると言える。」
(坂本奉行)「松根殿、それまでに整う兵の数は。」
(隊長)「はい。各地より召集いたせば、3千にはなると見ております。」
(坂本奉行)「先生、激震を伴う一件ゆえ、600人ほど当てるのが良かろうか。」
(奏菴先生)「八幡系列の水面下の動きも必ず生ずるため、他は手薄になってはならない。八幡寺を包囲し、悪代官らと社僧どもを捕縛するには、300人で足ると見る。」
(坂本奉行)「よしっ。これで行く。」
「松根殿、なんじが指揮をとれ。夜が明けぬうちに八幡寺を包囲すること。実刀は止むを得ぬ時にのみ用いること。役人のうち、120人は両手にそれぞれ古い壺を持ち、なんじの指揮に合わせ、その二つの壷を一斉に力強く割り響かせること。森に囲われ未明の薄暗いなか油断した敵が、その轟の元を把握できないという恐怖と動揺のなか、正義の下で押し入る多くの役人を目の当たりにするとき、その精神はすでに打撃を受けているゆえ、抵抗の力はもろく、長くは持たないだろう。」
(隊長)「仰せのとおりにいたします。」
(坂本奉行)「三人の悪代官、曽我、柳瀬、武見、及び、関東本山八幡寺の住職と別当、座主、院主など、それら社僧、並びに、虚無僧らと抵抗する者を皆、捕縛し、奉行所に連行すること。針金入りの縄を使い、一人の罪人につき三人の役人を当てれば十分であろう。兵の数(役人)、300。」
(隊長)「かしこまりました。」
(奏菴先生)「神を敬い神道を守った国民を古代より迫害し、朝廷を乗っ取り、国民に死の恐怖と鎖をかけてきた寺の者、そして、上様の背後で国家の破滅をもたらす取引をしたその悪代官らと後ろ盾の者どもを、容赦なく討つが良い。」
(隊長)「はっ。お奉行と先生のお言葉を心に、容赦なく討ちます。」
(坂本奉行)「よし、頼んだぞ。」
(隊長)「しかと、承りました。」
(坂本奉行)「一味の者を捕えたら即刻、上様にお伝え申す。」
(奏菴先生)「されど、悪代官や虚無僧らを捕えたばかりの奉行所を、お奉行は離れぬ方が良いと存じるが」
(坂本奉行)「ん…」
(奏菴先生)「事件の桁ゆえ、お奉行御自ら参上することができぬことを上様はお赦しくださると見る。ことに、松根殿を遣わせば、事後報告を含め、本件を受けて上様にご助言申し上げたい内容を伝言としても頼むことができると存じるが、いかがか。」
(坂本奉行)「直接の言葉がお有りか。それは心強い。上様も久しく奏菴殿にお会いしていないゆえ、本件に奏菴殿のご尽力があったとお聞きになれば、安堵されよう。」
(奏菴先生)「光栄である。」
(坂本奉行)「松根殿、では、なんじを遣わす。大役続きであるな、頼む。」
(隊長)「かしこまりました。重責を果たすことができるよう、最善を尽くします。誠に、わ…、上様のお目にかかることができますこと、身にあまる光栄にございます。」
(奏菴先生)「最後まで油断せず、気をつけるのだぞ。」
(隊長)「はっ。」
決定された重大な内容を受け、覚悟と静けさのなか、隊長は退出した。
夕刻、また旅に、奏菴先生も出立された。
同じ晩、お奉行の命どおり、隊長は勇士とともに奉行所を立ち、片品までの道中、日中は奉行所管轄の守屋で待機し、途中で合流した勇士とともに五日後の朝まだき、その300人の指揮をとり、関東本山八幡寺を包囲し、討ち入った。
そして、悪代官らとその一味の約40人、並びに、寺の責任者らと30人ほどの虚無僧らを捕えた。
中には舶来のカルト組織、そしてまた百済のムンカルトに属す者もあり、隊は手加減せず、憤りのなか、高務を遂行した。
同じ頃、留守を預かる役人は、お奉行の命じられたとおり、多くの若い女を騙したあの小池を捕え、奉行所に連行した。そして、「身売は人身売買に他ならない。たとえ、本人の多少の同意があったとしても、なけなしの金で働かせる宿を束ねていたその罪、および、諸々の悪行、追って、厳しい沙汰があるものと覚悟せよ。」と言い、その老婆を牢に投げ入れた。
お奉行の言葉どおり、隊長は罪人の捕縛後に至急、奉行所に戻ることになっていた。このため、徹底的に訓練されたその多くの勇士は、隊長に代わり指揮を任された副隊長に続き、捕えた約90人を連れ、山々を越えた(奉行所到着は六日後。)
早馬を走らせること5時間、東町奉行所に戻った隊長は、すぐさま坂本奉行に罪人の確保と隊員の無事、並びに、要点をご報告申し上げた。
お奉行は労いの言葉をもって次のように言った。
「上様宛にこの書状を記した。奏菴殿の言葉も含まれている。相当な波を伴う本件の噂が江戸城に届く前に、至急、この書状を上様に届けてほしい。」
(松根殿)「かしこまりました。すぐに向かわせていただきます。」
(坂本奉行)「あぁ、頼む。あやめ(名馬)はもう待機している。」
(松根殿)「かたじけなく存じます。」
そうして走ることさらに2時間。
日の傾く頃に江戸城に着いた。
「東町の坂本奉行より上様宛の書状を預かり、馳せ参じました。」
こう申すと、大広間に案内された。
40畳が六度ある240畳。
高まる緊張。
重責によるものばかりでない。
役人も微動だにしない。
静寂のなか、思い出される過去。
正座で待つこと、約1時間。
突然、「上様お見えにございます」との声が響く。
固い空気に覆われた距離。
-(いらっしゃった)-
深く拝する松根殿。
「面を上げよ。」
上様の第一声に、顔を上げる。
「久方ぶりだな。」
「はい、上様。」
厳しい眼差しの上様は「いかがした。」とお一言。
(松根殿)「はい、本日は坂本奉行からの書状をお届けに参上つかまつりました。」
役人の手から書状をお受け取りになり、お読みになる上様。
(書状の一部)「選挙不正並びに国外への資金流出の罪で、千葉の代官曽我殿、埼玉の代官柳瀬殿、栃木の代官武見殿、並びに、関東本山八幡寺の住職及び虚無僧らの一味合わせて94人を本日の午前、召し捕った。」
坂本奉行は事後報告を詫び、その理由を述べ、奏菴殿の言葉と一件の要を綴った。
書状を読み終えた上様は仰せになった。
「かような大事。報告が遅い。」
固まった役人らの表情。
(上様)「なぜ、無断で決行した。」
(松根殿)「恐れながら申し上げます。」
(上様)「申せ。」
(松根殿)「はっ。資金の流出元を突き止めましたところ、本日と明日が、悪代官らが八幡寺に集い、一味の者が油断するまたとない機会であることが分かりました。そして、それらが上様の背後で異国と交わした契りにより、年貢の桁外れの取り立て及び国外への巨額の流出の日が迫っているとの大危機を受けまして…、奏菴先生のご助言どおりにいたしました。」
(上様)「なんじも奏菴と話したのか。」
(松根殿)「はい。」
(上様)「ならば、なんじの口からも聞きたい。」
(松根殿)「はっ。」
(上様)「われに伝えたいと奏菴が申しておった言葉は、なんだ。」
(松根殿)「はっ。恐れ多く、申し上げます。奏菴先生は『上様に国を閉ざすことを勧める』と申していました。」
(上様)「なぜだ。」
(松根殿)「はい。今回の一件で露見しましたように、政において悪事を働く者には必ず、カルトが後ろ盾として付いております。そして、その組織色は様々にございます。古代にわが国に犯し入り死の鎖をもって国民を苦しめる寺関係のカルト、エゲレスやアメリカから流入しました秘密結社、または統一を謳う百済のムンカルトなど、今では極めて多く存在します。これらはみな、正義と真実を憎んでいますゆえ、排除しなければ、世は安泰になりません。東町奉行所の隊長として力に限りがございますが、わが身、上様の世が千代に続きますために、息吹ある限り、カルト組織を根絶する道を進むことを決心いたしました。」
(上様)「ここまでの話は分かった。だが、鎖国となると、異国の反対も大きい。」
(松根殿)「はい。単刀直入に申し上げます。江戸幕府が鎖国をしました際、国民の多くは苦しみました。しかし、その原因は、最高権力者であった将軍ではなく背後で僧侶が仕切っていたことにありました。正義と真実を離れる者は、やがて、義人を迫害するようになります。」
(上様)「それでは終わりが見えぬ話ではないか。いかように排除すると申すか。」
(松根殿)「はっ。恐れながら、教会を含む全てのカルト組織並びに宗教組織を桁違いの率で著しく課税することにより、それらの消滅をもたらすことができると考えております。そして、具体的な犯罪で捕らえることができるカルト会員を容赦なく捕え、かつ、かような背景を持つ者のわが国への出入りを禁ずることができますれば、諸国を洗うこの『大洗』が一定の期間で完了すると考えております。
最後に、上様が留守にされていました間に発生しました多額の流出に加え、今アメリカが吸い上げると公言する100兆円近い巨額。このままでは、国民も、国家も、持ち堪えません。」
(上様)「話は分かった。」
(松根殿)「お聞きいただき、誠にありがとうございます。」
・・・
(上様)「大洗の実現のために、なんじを大目付に任ずる。」
(松根殿)「まっ、誠にございますか。」
(上様)「今決めた。誠だ。」
(松根殿)「ありがたき幸せにございます。誠に、感謝申し上げます。」
(上様)「国を閉ざす件に関しては、しばらく考えることとする。」
(松根殿)「かしこまりました。」
・・・
(上様)「どうだ、鯉を見ないか。」
(松根殿)「鯉、にございますか。
はい、ぜひ。」
(上様)「よし。鮮やかである。」
しょうもん
かみしで
しんとう
た
いさ
あきな
は
うま
ぶつ
かなあん
みつき
さかもとしこくのかみなおなり
そが
くだら
ちぎ
くにざかい
かんぬし
いわしみず
まつ
すしゅん
もとい
はやと
ようろう
みこし
かつぎ
ほうじょうえ
なお
あか
きよ
もとい
あや
うしくそ
ひるかわ
みたらい
げんしょう
たた
すもう
ゆえん
おちい
きえ
しょうぞく
かんじょう
むち
りやく
おおもう
いちじる
さら
むじゅん
ねんぐ
しょうこんしゃ
やまがたありとも
やから
ぼうとく
あつら
とどろき
こむそう
つか
おなご
ねぎら
むたび
おもて
かなめ
つづ
おおごと
ちぎ
まつりごと
うた
あんたい
いぶき
おおあらい
こい
こん
にち
は
おおめつけ
おん みずか
しいた
あざむ
つぼ
せん
おん
かじ
ふきんしん
しゅいろ
こじ
ほりょ
ぶじょく
きぞん
せん
どう
そろ
ほばく
もと
けた
もりや
すいこう
もろもろ
とら
おお
ひさかた
すす
あんど
ゆる
と
こた
びん